ドレッサー。

平さんが只管かわいい。
愛すべき我侭者。
でも、我侭ぶりよりも
老いて正気と狂気(とは違うがなんと言えばいいのか)を
行ったり来たりする様が哀れで愛しい。
座長と、彼をただただ愛し、それを胸に秘めて尽くしてきた
ドレッサー・ノーマンと舞台監督・マッジ。
自伝の献辞にも名を書いてくれない座長。
ホンとに報われない。
それでもマッジには指輪を贈ろうとするのだ。
返すのがせめてものプライド。
でもその返した指輪を
遺体の指からこっそり抜き取る女心。
喪失感を共有できる相手と思って
延々と座長へのうらみつらみを連ねるノーマンを
置き去りに一人部屋を出てゆくマッジ。
悲しみは一人で抱きしめるものなんだ。