美しい人。

千秋楽のちょうど一週間前に大劇場に行った。
そこにはとても穏やかな時間が流れていた。
寿美礼ちゃんは、ただスッとそこに存在していた。
さよならなんて嘘みたいだった。
だけど、ふと消えてしまいそうに透き通った美しさを湛えていた。


宝塚での私の最後の夢。
卒業。


スッキリとした、気持ちよい挨拶だった。
卒業は新たな始まりなのだと、みんなに教えているように。
そう言えば、インタビューでもそう言ってたっけ。
組子に向けて、
私の退団は新たなスタートでもあるのだから、と。


千秋楽のニュースを見ながら浮かんだことは
この人は役目を終えて去っていくんだなあと。
会見で
「少しホッとしました」
と言っていた。
ChristmasEve、すべての荷物を降ろして、軽やかに飛び立ってゆく背中を、
おめでとうと見送れる私でありたい。